「あぁ!もうっ、何着よう!?」
頭をぐしゃぐしゃと掻き乱す、土曜の夜。
ベッドの上にはブラウス、ワンピース、フレアースカートにショートパンツ。
お出かけ用の、ありとあらゆる服を並べて、あれでもないこれでもないと、鏡に向かって自分の体にあててみる。
いよいよ明日。
お風呂に入って寝てしまえば、もうその時はやって来てる。
優衣と直大さんと、それから朝日との……言ってしまえば、ダブルデートってやつ。
「優衣は何着て来るんだろ……」
聞いてみようかと、ケータイに触れる。
だけど優衣の姿を想像してみて、あたしの指は止まった。
優衣だから……きっとピンク。
そして、ふわふわひらひらした、いかにも“女の子”って感じの服装。
被らないことを考えると、やっぱり少しボーイッシュな感じかな……と、ショートパンツを手に取ってみる。
鏡に映るあたしは、いつも通りの見慣れた雰囲気。
「……」
何もおかしくない。むしろこれが一番“らしい”のだけど、何か違う気がした。
何ていうか、その……。