「昨日は申し訳ありませんでした!」

「……何が」


優衣の悩みごとを聞いた、翌日。

朝練を終え、教室へと入ってきた朝日に、あたしは深々と頭を下げた。


「あの、その……大変失礼な態度をとってしまいまして……」

しどろもどろ。
大きなエナメルバックを机の上に下ろす朝日の顔を、ちゃんと見れない。

でも、きっと損ねてしまった機嫌を、何とか元に戻してもらわないといけなくて。

「本当にごめんっ!」

あたしはもう一度、頭を下げた。


カタンと椅子を引く音。

ドサッと座る気配こそ感じたものの、返事はない。


やっぱり、そう簡単に『はい、いいですよ』とはいかないか……。

諦めの色が少し混ざって、ゆっくり顔を上げる……と、


片手で頬杖をついた朝日が、じっとあたしの顔を見ていた。

そして、

「で、何が狙い?」

心を見透かすような冷めた目で、問いかけてきた。