「どう? 学校には慣れた?」

「うん。里花ちゃんと同じクラスだし、楽しいよ」

「部活は?」

「頑張ってる。今はまだ基礎体力作りで、
外ばっかなんだよね。ラケットも持てない」

「始めはね。おれん時もそうだったから、体力作りは大事だよ。
今ちゃんとやっとくとあとが楽だから」

「うん」

「それで、今度の土曜日は時間ある? 久々ぶりに時間取れるから、
一緒に練習できそうなんだよ。どう?」

 亮さんのうれしそうな顔。緋色もパッと顔が明るくなる。

「里花ちゃん。練習どうだったっけ?」

 緋色はわたしに顔を向けると無邪気に聞いてくる。
 ほんと練習スケジュール覚えないよね。

「確か午前中だったと思うけど」

 この日は例の二年生に誘われた日だ。余談だけど―――

「じゃあ。三時はどうかな?」

「うん。大丈夫」

「用意して待ってて。迎えに行くから」

「うん。お兄ちゃんと練習なんて久しぶり。楽しみー」




 二人は顔を見合わせると微笑み合った。

 完全に二人の世界。



 いつものこととはいえ、
 その甘々な世界につっこむ気も失せる。