「里花ちゃんって、もてるんだねえ」

 隣からのんびりとした
 感心したような声が聞こえた。

「そう思う?」

「うん。里花ちゃんって美人だもん」

 躊躇なく返事が返ってくる。
 その言葉に思わず頬が緩む。

 まったくもう。
 この子は。

 自分の魅力に全然気づかない。
 かわいい容姿をしていることさえ知らない。

 自分に関心がないから。

 100%緋色への誘いなんだけどね。

 ある意味、純粋で人を疑うことを知らないから、
 緋色に任せておいたなら、
 すべて承諾させかねられないと思い、
 緋色の代わりに返事をしていたら。

 男子達の間で、わたしがOKしたら、
 緋色と付き合えると思ったらしくて。

 最近ではさっきみたいに
 わたしに直接話を
 持ってくるようになったのよね。

 ただ1対1ではなく複数だけど。
 グループ交際のほうが
 近づきやすいと思っているんだろうな。



 わたしもある意味、緋色と同じように有名人なのかも?

 知らない上級生から声をかけられるくらいだから。



 ほんとは目立ちたくないのにね。