「…先、帰ります。」


「おつかれー。」


目も合わさずに、店を出て行くダイキ君に、ひらひらと手を振って。

静かになった店内を見渡して、泣きそうになった。


スクールの準備、してあるじゃん。

溜まってた伝票も、きちんと整理されている。

ダイキ君は、私がここに戻ってくること、知らなかったはずなのに…。


自分を、傷つけたい、だけですか―――。


ダイキ君の言葉が胸に刺さったまま、だ。

脱力したまま、ドスンとしゃがみ込んだ。


傷つけたいよ。

私が傷つけたもの、壊してしまったものは、もっともっと苦しんで、のた打ち回ってたんだから。

こんなことじゃ、許されない。

外見だけで寄ってくる男なんか、さっさと寝てやる。

プラスを与えてくれる男には、何度でも足を開いてやる。


もっと、もっと、傷つけて、――――。


未だに、航太じゃないとって…。

過去に縋る自分を戒めたい。


私のしたことは、こんなことじゃ許されないんだよ…。