最初の席っていうのは大体名簿順なわけで、私、藍原紗奈はかなりの確率で1番。

つまり、1列目、1番端のドアの前だ。


「おはよ」


見慣れない景色に戸惑い下を向いていた私は、知っている声が聞こえて、慌てて視線を戻した。


「澤田くん!もしかして同じクラス?」


「……名簿、見てないの?」


「……見ませんでした」


澤田くんは、ちらっと千尋の方を見て、なるほどって顔をする。

それだけでこの状況が分かってしまうなんて、彼がすごいのか、それとも私が分りやすいのか。


「おーい、さっさと座れー。とっくにチャイム鳴ってるだろー」