メリーの言葉を聞いた陽一は、メリーの意図が分かり思わず溜息が出る。

「俺が此処で寝るから、お前はここが良いんだよな?」

メリーは、何が何でも自分を守りたいんだと、痛いほど気持ちが伝わってきた。陽一が何度も言おうと、メリーの強い意志は揺るがなかった。

『うん。でも、陽一が嫌なら陽一の部屋の前の廊下でもいい』

メリーの真っ直ぐな想いを受け止めた陽一は、困り果てた。そして、いろいろと考えた結果-----。

「別に、お前が俺の部屋に居るのは嫌じゃない。だから、好きにしろ」

メリーが同じ部屋で寝るのを許した。元々、メリーが自分の部屋に居るのは気にしない。ただ、自分が「好きな所で休め」と言ったのを思いだし、これ以上何も言わなかった。

『ありがとう』

メリーは、嬉しそうな顔を陽一に向ける。その顔に、思わずドキリと心臓が跳ねる。

陽一から了承を得たメリーは、律儀に部屋の隅に移動をして寝袋を広げる。寝袋の準備を終えると、今度は天井にカーテンらしき布を付けていた。

「何してるんだ?」
『美佳南さんが、もし部屋の中で寝る時には使いなさいって仕切りをするカーテンをくれたの。コレさえあれば、私に気にせず寝られるでしょ?』

メリーの言葉を聞いて、はっと陽一はあることに気が付いた。世間から見れば、男と女が同じ部屋で寝るのはいいのかと気付く。

しかし、美佳南から貰った仕切りのカーテンは、メリーが寝る場所を囲むようにして付けられているので、とりあえず安心する。

ようやく、お互いの寝る準備が整う。陽一は、再び電気のヒモを握った状態でメリーに話しかける。

「俺は大丈夫だから、ちゃんと寝ろよ。じゃあ、おやすみ」
『お……おやすみなさい』

陽一は、直ぐに電気を消して布団の中に潜り込んだ。そして、今日の一日の出来事で疲れており直ぐに眠りに入った。