「……り、ひかり」
「っ……」
名前を呼ばれ、体を軽く揺すられて、あたしは目を覚ます。
眩しさに目を細めながら、ぼんやりと映るのは、整った優しい顔。
「あれ……綿あめは?」
白くてふわふわの、だけど少し変な味の綿あめ。
それを食べていたはずなのに……見当たらない。
あたしが聞くと、目の前のその人はクスッと小さく笑って。
「綿あめじゃないでしょ。今日ひかりが作ってたのは、グミでしょ?」
と、言いながら、屈んだ姿勢を起こした。
あたしが今日作ってたのは……グミ?
ボーッとする頭の中。
だけど、その言葉の意味を理解した瞬間、失われた記憶を取り戻したかのように、一瞬にして思い出す。
そうだ!あたし今、部活中っ……!!
ガタンッと音を立て、座っていた丸椅子から思わず立ち上がると、
室内にドッと笑い声が起こった。