誰も私のことなんて、気にしなくていい
のに。



私のことなんて、皆、見えなくなっちゃ
えばいいのに。



静かに暮らしたい。

何事もなく暮らしたい。



───そんな願いすらも、どうして聞き
入れてくれないのよ。



教室には戻る気分になれなくて、ゆっく
りと、教室とは違う方向に足を進める。



───ガチャ……



向かった先は、屋上。



ドアを開けると、ふわっと柔らかい風が
髪を靡かせて、私の頬を撫でた。



「気持ちいい……」



心地いい風に身を委ねるように瞼を閉じ
る。



まるで、どこからも干渉されない、隔絶
された世界のような。



私だけしか居ない世界のような、そんな
錯覚に見舞われる。