馬鹿で、単純で、愚か。


プライドの高いあなたは、挑発されたと勘違いしている。


だいたい、あなたのキスも、私に触れる指先も。


彼とは愛し方が、違うから。


終わった後に漂う、この嫌悪感。


わっかんないかなぁ。

私はもう、終わってほしいと思ってるの。

もう辟易しているんだって!!


だけど、――――。

私が吐露したのは、心とは全く反対の、言葉たち。


「…おかしくなっちゃいそうで、…怖いの。」


潤んだ瞳で見つめると、彼は嬉しそうに口角を上げた。


「見たいね…。麻友理の、乱れる姿が…。」


ゆっくりと舐められながら、こじ開けられていく唇に、彼の舌が侵入してくる。


「愛してるんだ。麻友理―――。」


耳元で囁かれる甘い台詞に、私はそっと瞳を閉じた。


「私もよ。」




私が、あんたなんか、愛するわけがない。