「湊くんか〜…」




昨日愛莉紗を送ってくれた黒髪の美少年を思い浮かべる母親。


顎に手を当てると探偵染みたように『ふむふむ』と頷く。なにかを推理したように。




「愛莉紗に一目惚れしちゃったのかなぁ?」




我が娘ながら罪な女ねぇ。と笑う母親。探偵は黒髪と金髪を思い浮かべニヤニヤと笑った。




「恋の予感、かしら?」




フフっと再度笑った母親は―――――実に優しげな表情をしていた。昔この町で出逢った自分と夫を、愛莉紗と湊に重ね、娘の後ろ姿を見つめていた。