そして、雅が言い放ったのは、単純明快
なのに理解不能な一言だった。



「俺の傍に居ればいい」



……はい?なに、それ。



雅の傍に、ってどういうこと?



訝しげな表情を浮かべた私に、雅は尚も
口を開く。



「姫、っつのは、総長の女。だからお前
は、ただ俺の傍に居るだけで良いんだ」



簡単だろ、とでも言いたげな口調でそう
言うけど……。



「ちょっと待って。やっぱり無理よ」



眉を下げてそう言うと、雅の瞳が、私を
捕らえる。



そんなの許さない、って言われるような
威圧的なそれに、怯みそうになりながら
もどうにか言葉を繋げる。



「いきなり雅の女、とか……。無理に決
まってるじゃない」



雅の女って、つまりそれ、雅の恋人って
事でしょう?