「……リョウ・ピズマ。『魔法剣士科』の三年生」
「うわぁっ!?」
考えに耽っていたところで後ろから声をかけられ、私は思わず飛び上がった。
慌てて振り向くと、そこにいたのは20歳くらいの男の人だった。
藍色の瞳を細めてこちらを見下ろす彼は、無表情で私に手を差し出してくる。
「……担任のガンツだ。よろしく」
「あ、転校してきたセリナ・マクレールです。よろしくお願いします」
頭を下げつつ、ガッシリした手を握る。と。
「では、教室へ行くぞ。ついてこい」
その手をサッサと離すと、大股で歩き始めた。
置いていかれたらたまらないので、私も慌ててその後を追う。
そして、落ちる沈黙。
「………………」
「………………」
……どうしよう、なんか気まずいんだけど。