「愛莉紗、ここが役場とか思ってるでしょ?違うわよ。ここはこれからの住まい」 母親が建物の扉を開けながら言った。 真麻は父親の荷物運びを手伝っている。我ながら出来た妹だと思う。 姉貴はと言うと、そのデカイ建物を前に固まっている。呆然と立ち竦み、見上げたままの状態で。 は? 住まい? マイホーム? 「此処が?」 「そうよ〜」 私には見向きもしないでせっせと段ボール箱を外から中へと運ぶことを繰り返す母親。