そして女は、いきなり脚を止めた。勢いよく急停止するとそのまま快晴の青空へ手を掲げて… 「海だぁぁあ!」 名一杯、誰も見当たらない海岸で叫んだ。 だ―――――… だ―――… だ――… 山でもないのに山彦のように木霊する声。エコー気味に聞こえる声からして相当の声量だったに違いない。 「ふぅ。」 少女は一息つくと肩をゆっくり落とす。瞳を閉じ、波の音、風の音を感じる。静かに耳に入ってくるのは自然の音。