歩き続けると2つに道が分かれていた。

一本は平地。
もう一本は上り坂。

少し悩んで上り坂の道へ進んだ。
歩き続けると小さな丘のようなところに出た。

木のベンチと鉄棒があるから公園なのかな?


木のベンチに座るとこの街の景色を一望できた。

その景色に見とれているとふと何かが頭に引っかかった。


―私、この場所に来るの初めてじゃない気がする。

―幼い頃、おばあちゃんと来たことあったっけ?

―ううん、もっと前な気がする。
何年も何十年も前・・・

―愛しい人と楽しい時も悲しい時もここで過ごした気がする。


ハッと我に返る。


(何?今の私?)


首筋の生まれつきあるアザがチクンと傷んだ気がした。

ドクン、ドクン、と心臓が波打つ。


「帰ろ」


そう呟いて来た道を戻った。

きっとあの場所は私のお気に入りになると思う。

そう考えながら夕焼けの空を見上げた。