「いってきます!」
「はい、いってらしゃい」
結局家を出たのはいつもより15分遅い、7時55分。
スニーカーを突っかけ、ダッシュで家を飛び出した。
篠塚千花(シノヅカ チハナ)中1。
周りの友達はチカって呼ぶ。
季節は春。
あと2週間で三学期も終わり。
私の学校の制服は紺のブレザーにグレーのスカート。
胸には赤い紐リボン。
髪は肩より上のショートボブ。
私が学校に着いたのはHRのチャイムが鳴る3分前だった。
「おはよ、チカ。
ぎりぎりセーフだったね」
前の席の友達が声を掛けてきた。
「うん…」
息を切らしながら教科書を机の中に入れた。
それから数分経って担任が教室の中に入ってきた。
担任の長い話は無視して私は昨夜見た夢の事を考えた。
「花野」と呼ばれた小さな女の子と「イッくん」と呼ばれた同じくらいの男の子。
2人はお別れをしていた。
花野は涙を流しながら。
ケータイ小説 野いちご
何度でも君に恋をする
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