「あ!いや‥。そんなこと言ったっけ。」


「いや、未来今言ったぞ、確かに。」


なぜ今ごまかした?


「‥‥それは、な‥。」


「おい!!そこの二人何をしている!練習をしろ!!」


体育館の中で、ドッシリと椅子に座っている人が怒鳴っている。


多分あの人は監督だろう。


「やべっ!行かねーと!!じゃあな、清川!!」


「聞きたいことがあったら、メールでもしてくれ、じゃあ!」


そう言って二人は、まるで逃げるように行ってしまった。


未来が言っていた人物‥。


そして未来が言おうとした何か‥。


どこかで聞いたことがある名前だ。


中学の時にいた生徒なのか?


それとも別の時に‥?


必死に頭をフル回転させ、誰なのか思い出そうとする。


「‥‥わからねぇや。」


ゲーム教室に行こうと思ったが、もう疲れたし、帰るか。


スッキリしない頭をポリポリかきながら、学校を後にした。


その頃。


「な~、イケメン君。なんでアイツの名前を知ってるんだ~?」


「イケメン君って恥ずかしいんだけど。ま~、広人のことは聞かなかったことにして。勘違いだったから。」


「なんだよ、それ~。勘違い?」


「そう、勘違い。想像していたことになってなくて良かった。」


そんな話を、未来と渡総馬がコソコソと話していたことなんて、オレが知るはずもなかった。