「なんで告んないの?」



「はっ?」





目を見開いてあたしを見て

またため息。



だから失礼だってば。



なんか不機嫌そうな顔で

こう続けた






「振られるにきまってるから」






はぁー、ここにもばかが1人。




どうして2人とも鈍感なの!




にいなは藍斗くんが好きなのに!





って言いたい気持ちを

一生懸命抑える。




だって本人達が言わないと

意味ないもんね。






「なんでそう思うの?」



「にいな、モテる」



「確かにモテるね
かわいいし、守ってあげたくなる感じだし?」






にいなは女子のあたしからしても


かわいい。





ちっちゃくて


一生懸命で


正直で


ちょっと、いやだいぶ抜けてて


すぐ真っ赤になる。






そりゃ惚れる奴なんかいっぱいいる。





ま、絶対あげないけどね!





「この前も八木先輩に告られてたし…」



「あーそうだったねー」




八木先輩っていうのは


バスケ部のキャプテンで



とりあえずかっこいい人。





藍斗くんが弱気になるのも分かる。




けど…




「なーんだ、残念。」




そう、ここはあえて冷たく!




美紅様の作戦…



藍斗くんを挑発しちゃえー作戦!





我ながら

ナイスネーミングだわ!





「は…?」




「あたし、藍斗くんなら
にいなの彼氏でもいいかなって思ってたのに」



「……」



「でもそんな気弱なんじゃ
にいなはあげなーい

八木先輩の方が頼りがいあるし?」



「……」



なんとか言わんかい!


まさか、本当にへたれ?




こーなったら

最終手段!にいなごめん!





「言っとくけど、にいな振ってないからね。」



「え?」



お、食いついた



「八木先輩ならいいかもって
返事保留してる。

このまんまじゃ本当に取られちゃうよ?」



「…っ!」



悔しそうな藍斗くん。


なんか申し訳ない。




八木先輩はきっぱり


振られてます。




はっきりしない藍斗くんが悪いんだからー




てか反応なしですか?




「…教えてくれて、さんきゅ。」




そう言って

くらーい顔のまま藍斗くんは練習に戻ってった。