廊下に出て、近くの掃除道具入れから雑巾などを取り出し、この教室を掃除することにした。


何度も空中にホコリがまい、目をこする。


まるで家の大掃除をしている気分だ。


「ふぅ、こんなもんだろ‥。」


ゴミやホコリを近くにあったゴミ箱に捨て、一通りキレイになった。


あるのは長い机が一つと椅子が三脚、そして将棋盤が二つ置かれているだけ。


昔将棋部がこの教室で練習でもしていたのだろうか?


もう何年も使われていない。


静かそうだし、オレがゲームを考える場所にもってこいだ。


だが、掃除の時間のときに、この教室が生徒たちに気づかれてしまうかもしれない。


‥いや、あのホコリのたまり方から考えると、生徒たちはこの教室の掃除どころか存在にも気づいていないのだろう。


またいいことを思いついた。


廊下に置いていた黒い猫のカバンの中から、メモ帳と筆記用具を取り出した。


そして今日覚えたクラスの生徒の名前を紙で作った駒に書き、将棋盤の上に置いた。