外も段々と明るくなり倉庫の窓からは朝日が流れこんでくる。

俺は最後にレストランで聞かなかったことを聞いてみた。

「なあ汐見。曽野宮ってお前にとってどんな奴なんだ?」

汐見は五秒程沈黙した後に最高の笑顔で答えた。

「大切な――」

その瞬間、景色がスローモーションに流れはじめた。
鳥のさえずりを最期の銃声がかき消す、汐見の手から抜け落ちた拳銃が倉庫の床に当たって無機質な音を鳴らす。
汐見はゆっくりと仰向けになって倒れた。
まるで天に昇るかのように朝日が汐見を照らしている。

そんな汐見に情を動かされた俺は、生涯で二度目の願い事をしてみた。


「神様、俺の父さんの件についてはあんたを恨んだ。神なんていないと思った、だけど頼む……この願いだけは叶えてくれ」


《汐見麗と曽野宮京が幸せでありますように》

そして俺の意識はそこで途絶えた。