僕は儀式に行く準備をするために、沙由の部屋へ向かった。



6畳ほどの部屋が沙由の部屋だ。


ふすまが閉まってたら声をかけようと思ったけど、
閉まってないどころか、全開だったのでやめた。


古びたドレッサーの前に座っている沙由の服装は、着物を短くしたような服―――儀式の時に着る服――――を着ていた。


「あ、お兄ちゃん」


僕の視線に気がついたのか、沙由はくるりとこっちに体を向けた。

綺麗な黒髪がふわりと舞う。


僕は沙由の準備が終わるまで、ここを動かないことにした。


重い沈黙が部屋に流れる。




最初に口を開いたのは、沙由だった。