「は?転校!?お前が??何を言ってるんだよ~。」


未来が笑いながら言う。


完全に未来は、オレが転校する話を冗談だと思っている。


「おい、今の話聞いたか?」


「清川君が転校??」


「冗談でしょ。」


そして近くでこの会話を盗み聞きしていた生徒たちが、徐々にざわつき始めた。


生徒たちがオレをチラチラと見ていることに気づいたが、気にせずに荷物を黒い猫のカバンの中に入れた。


「‥お前、冗談じゃないのか?」


「オレは本気だ。」


そう言いながら立ち上がり、あたりを見渡した。


いつの間にか教室にいる生徒全員がオレを見ていた。


「オレ、ちょっとしたいこと見つけたわ。だから、ここを退学する。」


そう言いながら、黒い猫のカバンを持ち、教室のドアを開ける。


「じゃあな、未来。」


「おい!‥‥‥あぁ、じゃあな。」


後ろを向いたまま小さく手を振って、まだ授業があるのにオレは家へ帰った。







「ねぇ、未来君。止めなくていいの?」


「あぁ。‥思い出してなかったらいいけどな。」


「そっか‥、そうだね。」


オレがいなくなった教室で、そんな会話をしていたことに、もちろん知るはずもなかった。