「何なんだよ! いきなり『カラダを探して』って! わけわかんねぇ!」


放課後の教室で、遥に「カラダ探し」を頼まれた私達は話し合っていた。


「詳しく教えろよ! 『カラダ探し』って何だ!?」


さっきから怒りながら私達を見ているのは高広。
クラスでは、乱暴者の部類に入る私の幼なじみだ。


「知らないのか? 『赤い人』を見たら、校門を出るまで振り返ってはいけないんだ」


眼鏡をクイッと上げて高広に話す翔太。


「それでね、振り返ったら、カラダを八つ裂きにされて、校舎に隠されるんだって」


怖がりの理恵が震えながらそう呟く。


「で、それを探さなきゃならないわけ。遥のカラダを、私達がね」


「カラダ探し」を、あまり本気にしていないような言い方の留美子。


そして、無口な健司がうなずいた。


「お前ら、頭は大丈夫かっつーの! そんなの、ただの噂話だろ?」


高広の言うように、普通ならそう思ったかもしれない。


でも……今日の遥の目は、まるでマネキンのように、どこを見ているかわからない不気味なモノで、冗談を言っているとはとても思えなかったから。