「ねぇ、あんた、それ以外の物…食べないの?」

南は身長の割に体重が軽そうです。

それはもう病的に軽そうです。そして顔色も青白くてお世辞にも良いとは言えません。瞳の輝きだけはギラギラしてて、何を考えて居るのか良く分かりません。

リンダは思いました。こいつの、この食生活が全てを捻じ曲げているのでは無いかと。普通に食事を摂れば性格も変わるのでは無いかと、そんな風に思えました。

「ねぇ、一口だけでも食べて見ない?美味しいよ、メイおばさんのサンドイッチ、野菜も卵もハムもいっぱい…ね?」

リンダは南に向かってサンドイッチを一つ差し出しましたが、相変わらず南は何も言わず、ちらっと差し出されたそれに視線を送っただけで、再び携帯を弄り始めました。

小鳥の声が草原に響き渡ります。雲は白くて大きな物が一つぽっかり浮かんでいます。この、のどかな空を眺めて居ると自然と眠気が襲います。


二人は相変わらず無口です。


リンダはじゃれつくボスの相手、南は携帯の相手をし、それぞれ別の時間を過ごしていました。

沈黙を破ったのはリンダでした。彼女には南に聞いてみたい事が有りました。


「――ねぇ」