しばらく歩いていると、

頭の中が、なんだかスッキリしてきたようだった。

・・・

昨日の事も、忘れるほど。

・・・

約一時間ほどの散歩も終わり、

家路につくべく歩き出した。

・・・。

私の足は、その場に張り付いたように、

動かなくなった。

・・・

前からこちらに向かって歩いてくる

その人は、

私が恋した人・・・

あのうろ覚えの顔。

やっぱり今も何も見えていないのだけれど、

確かに、直感的に、

その人がそうだってわかってしまった。

・・・

でもだからって、

その人に会ったときは、

私はまだ14歳だった・・・

きっと変わってしまった私の事なんて、

分かるはずもないだろう。

声なんてかける勇気など、

私にはなかった。