「暑い!」


ダーン、と机に両手を叩きつけて叫んだ。


すると、同じ机で勉強していた辻村くんがじろりと私を睨む。



「うるせーな、集中しろよ」


「だって暑いんだもん、汗止まらないんだもん!」



握っていたシャーペンを放り出して、私は下敷きを手に取る。


パタパタとそれで顔を仰ぐけど、生ぬるい風が顔を撫ぜ、全然涼しくない。


私は自分で風を起こすことを諦めて、部屋の隅で空気を健気(けなげ)にかきまわしている扇風機の風力を上げた。



現在地、私の部屋。


うぃず、辻村くん。



「お前が図書室嫌だって言ったんだろ?」



呆れたように言う辻村くんは、たいして暑がっていないように見える。


なんで!?



「だってまさか自分の部屋のクーラーが壊れてるとか思わないじゃん!
昨日まで普通に使えたのに!」


「残念だったな」



パラパラと教科書をめくりながら、辻村くんはそう言う。