「……やっぱり、辻村くんが藤桜でレギュラーじゃなかったなんて、おかしいよ…」



きっと、何か理由がある。


辻村くんが、藤桜のチームを嫌いだなんて言ったのも。


そして藤桜をやめたのも。



……知りたい。




今までは、触れられたくないならそのままでもいいと、話してくれなくてもうちのチームで辻村くんが楽しくサッカーできることが一番だって、そう思ってた。



だけど。



「……知りたいよ……」



いつの間に、こんなにも私の中で辻村くんの存在は大きくなっていたんだろう。


体育祭の打ち上げで知らない女の子を名前で呼んだことが気になって仕方なかったのも。


今、こんなにも彼のことを知りたいと思うのも。



……きっと私にとって、辻村くんがかけがえのない初恋の相手だから。






サッカーに全てを捧げるそのひたむきな背中が好き。


辻村くんの言葉に、行動に、私の心は簡単に揺らぐ。


それってきっと、そういうことだ。




もう過去のものだと思っていた初恋は。



……私の中ではまだ、終わっていなかったんだ────。