抱きしめられたまま、

時だけが過ぎていく。

・・・その沈黙を破ったのは、

私の携帯。

・・・

メールだった。相手は晴香。

「社長、すみません・・・

急用が入りましたので、

私はこれで・・・」

・・・

少し緩んだ宗吾の腕から、

私はそっと離れ、逃げるようにその場を去った。

・・・メールの内容は、

なんてことない普通の会話。

…急用なんて嘘だった。

でも、それを口実に、

今は宗吾の傍から離れたかった。