着替えなよと言われ、リビングに戻る彼を見届けようやく衣類で身を包む。



洗濯したばかりの好きな柔軟剤の匂いがするルームウェアを着て彼の場所に戻る。
長い時間お風呂にいたらしく、時計の針は11時を過ぎていた。



「雅巳君眠くない?」


「普段この時間はまだお店にいるから全然眠くないよ?ルイが眠いなら添い寝はするよ。」


「お店ってホスト?」


「まさか。こんな女性が堕ちることを平気で言うホストがいると思う?小さなバーだよ。先輩の店でバーテンしてる。」



「シャカシャカしてるの?」



バーテンダーが酒類を調合する動作の真似をしたら、同じ動作で



「シャカシャカしてるよ。無口だけど女に節操ないどうしようもない店員してるよ。店のライトのお陰でどうやらおばさん達に可愛いって評判みたいで小さいながらにいつも繁盛してるよ。」



「中身はこうなのに?」



と、嫌味たらしくミネラルウォーターを口に含みながら言うと



「三回毒を吐いたら大体フラれるね。年の功は関係無いみたいだね。結局女はいつまでたっても女って感じ。何の為に人生経験積んでるの?って言いたくなるよ。あ、言ってるかな。」




フフって笑うと



「ルイには何回毒を吐いたかな。本音もあるけど君の返しを見てみたかったのもあるよ。」



「そういう人なんだって割りきれる性格なのかな?初めは腹が立ったけどね。」



「そうだね。でもまた連絡来たときは嬉しかったよ。あぁ、神経が太い馬鹿な女なのかよっぽど他に誰も居ないかのどっちかだと思っていたけど。」



「どっちだった?」



「両方かな?」




絶対言うと思っていたから期待通りの返答で準備していた変顔を彼に見せる。



でもあの時の私は何もかもがどうでも良かったの。生きていたくない、ただそれだけの理由で貴方と巡り会えた。



「寝室に行こうか。ルイは夜寝るという習慣を教えてあげるよ。」



「知ってますけど……。」



「おいでルイ。」




私の布団ですけど。