そして黒の背景に紫の蝶が描かれた使うのがもったいないぐらいの綺麗な扇子で私に風をおくってくれた



涼しくて丁度いい感じだ



私はまた眠っていた










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桜ちゃんは俺が扇子で風をおくると、心地よさそうに眠った



寝たのを確認した後も、俺は一人必死に扇子を仰いだ



少しして部屋の扉の開いた音が聞こえて扉のほうをみると、遥が腕を組みながら壁にもたれかかっていた



そして遥は



「嬢、大丈夫か?」



と桜ちゃんの顔をチラッと気にしながら俺に聞いた



『おう、だんだん顔色良くなってきてるから大丈夫だと思う』



「そっか、ならいいんだ」



遥は俺でも見たことがないような顔で笑っていた



桜ちゃんは色んな意味で遥の特別な存在なんだな、と思った