久しぶりに航太と会える。


あの頃の私は、それだけで嬉しかった。


子どものように指折り数えて。

航太に会える日を、毎日楽しみに待っていた。


だって、―――。

彼は社会人で、私は学生。


12月に入ってからは、お互い忙しくって。

予定を合わせることすら、出来なくて。

クリスマスだって…、会えなかったし、ね…。


航太が、プライドを持って仕事をしてるって、わかっていたから。

私が我慢すればいいんだって思ってた。

学生だし、年下だし、甘えてばっかりじゃだめだって。

だから、会いたいって言えなかったんだ。

そんなこと言ったって、仕方のないことだって、諦めていたから。


12月ももう、残りわずか。


新しい年を迎える準備で、街の中はどことなく慌ただしい。


「クリスマスに会えなかった分、明日はしっかり埋め合わせするから。」


「うん。」


「午前中に迎えに行くから。

ランチ、予約したんだ。
適当に買い物してさ、夜は、一緒に作ろ。」


「うんうん。」


「あ、そうだ。玲、泊まっていくだろ?
DVDも借りよっか。」


「うんうんうんっ!
盛りだくさんだねっ。」


嬉しくてつい、弾けた声を出してしまう。


「他は何がお望みですか、お姫様?」


「ふふっ。
航太と一緒にいれるだけで、嬉しいで―す。」


私はわざと、ふざけてみせる。

鏡越しに目が合う自分のにやけた顔すら、どうでもいいよ。


だって、航太に会えるんだもん。