何だか腑に落ちないが、机の上にはやることがいっぱいだ。
せめて自分の誕生日の12時までには終わらせたい。
「お嬢様」
ノックを一回して、使用人が入ってくる。
しようと思っていた眼鏡をケースに戻し、椅子から立ち上がる。
「すみません、お時間がかかりまして」
「はい?」
「旦那様と奥様がご用意なさった、
最高で最後のプレゼントです。
いれて」
さっき会った30人ばかりの使用人達が、一気に部屋に入ってくる。
あまりのことに、つい早歩きになりながら近づく。
「でかいのね」
8人くらいが箱を持ち、あとの使用人はいろいろと指示を出したりしていた。
そんな大事なのが入ってるの?
と思いながら、城や嫁入り道具をプレゼントとして与えていた両親の考えは安易では無い。
「ついに金塊でもプレゼントしようってこと?」
箱まで30メートル。
チェックが終わったのか、使用人達は一列に並んで、私にお辞儀をする。
きれいな角度で揃えられていて、上げるタイミングも同じ。
相変わらず恵比寿の使用人は素晴らしい教育を受けていらっしゃる。
「では、失礼いたします」