「お帰りなさいませ、翔様」


「ただいま、加藤さん。

この人が今朝話してた早乙女冬美。

家の事は分からないだろうから、

教えてやって」


「まぁ、お綺麗な方ですね。

私加藤幸子と申します。困ったことや、

分からないことは何でも言ってください。

お食事や掃除も私がしますので、

何もお気になさらず」



「・・・」

私は優しく微笑む幸子さんに、

自然と気を許すことが出来た。

どことなく、うちの母親に似ていたせいかしら。

幸子さんとは、上手くやっていけそうだ。

軽く会釈をすると、

翔は私の手を引いて、

二階へと上がっていく。

・・・

一番奥の部屋に通された私。

・・・

思わず息を呑む。

「ここが寝室。隣に通じてる部屋は、

冬美が好きに使っていい。

仕事をするなり、まったりするなり」