「貴方は強いのね。」




大した過剰な発言に嫌味を込めて言ってやったが、彼はきっと誉め言葉で捉えるだろうね。



氷で薄まった爽健美茶を口に含んで居心地の悪い空気になんだか帰りたい。










「ねぇねぇ。」



「……はい?」



「ルイを人生終わらせた男の話をしてよ。どんな人だった?世界で一番かっこ良かった?世界で一番優しかった?…クスクス」



「興味も無いでしょ。」



「ないけど、ルイが一番輝く瞬間と絶望が見れる瞬間を見たいだけ。」



「エスね、しかもタチの悪い。」



「サディストでは無いよ?人の苦痛見て喜ぶ馬鹿いる?勘違いサディスト、偽りマゾヒストは世に溢れて鼻で笑いたくなるけど。」



「雅巳君の正反対な人よ。」



「…………ん?」










嫌味など無い人だった。



何事も素直で甘えん坊で、全てを捧げても良いと思えた人だった。





「一生ソバにいたい人だった。……だったじゃない、今もいたい人。」