だけどそんな願いなんて簡単に崩れ去るんだ。



コイツの登場で。




「咲音〜!!いたいた〜!!」



廊下の向こうからご機嫌Maxな尚紀が私に声をかけてくる。




現れたな!!


妖怪、変態ドS!!




「忍法、雲隠れの術!!」




白い壁にべたーっと張り付く。



見えません。


私は尚紀には見えません。




「な〜にやってるの〜?咲音ぇ〜?」



「尚紀が話かけているのは壁です」



「いやいやどーみても咲音じゃ〜ん」



グイッ




「ちょっ!!?」




壁だと言っているだろうが!!




壁に張り付く私の腰を掴んで無理矢理自分の方へ寄せる尚紀。




「はっ離してよ!!」




「離しませ〜ん」




グイッ




「うわっ!!?ちょっと!!?」




叫ぶ私なんてニコニコ王子様スマイルで無視して、尚紀は私の腕をグイグイ引く。