「今夜って、とってもロマンチックだと思わない?」

「そう? ナナがそう思うなら、そうかもしれないね」

「なにそれ……。変な言い方!」

「ごめん。今夜は本当にロマンチックな夜だね?」

「でしょ? だから……キスして?」


タカはナナの子どもっぽい言い方に苦笑しつつも、ナナの華奢な肩を抱き寄せ、唇を重ねていった。

これが初めてのキスではなかった。それどころか、二人は毎日のようにキスをしていた。だが、それ以上の事はなかった。この日までは。


「私ね、した事がないの」

「だろうね」

「あなたは?」

「悪いけど、あるよ。任務のために、仕方なくだけどね」

「そう? やっぱりね。じゃあ、今夜も“仕方なく”でいいから、して?」

「いいのかい?」

「いいの、あなたとなら。あ。赤ちゃんは出来ちゃうの?」

「いいや、それは有り得ない」

「そうなんだ……」


タカは、まだ熟れきっていないナナの白い裸体に、自らの身体をゆっくりと重ねていった。