「違うから、怖がらないでよ。むしろ僕は人間に危害を加えられないようプログラムされている」

「そうなんだ……」


ナナはそれを聞いて胸を撫で降ろした。だが、タカが戦士でないとすると、いったいどんな目的でタカは造られたのだろうか……


「僕はね、工作員なのさ」


ナナの心を読んだかのように、すかさずタカはナナの疑問に答えた。


「工作員?」


しかし聞きなれない言葉に、ナナは首を傾げた。


「つまり諜報部員。スパイと言った方が解りやすいかな」

「なるほど……」


それならナナにも解った。ただし小説や映画といったフィクションの世界での事ではあるが。


「ついこの間まで、某国に潜入して諜報活動をしていたんだよ。ところが呼び出しを受け、大急ぎで仲間に任務の引継ぎをして此処へ来たわけさ。それでも数日掛かってしまい、君には悪い事をしたと思ってる」

「誰に呼び出されたの?」

「それはもちろん天馬博士、つまり君のお父さんさ」

「えっ?」