「女は諦めたが、

仕事はまだ諦めてない。

明日のコンペ・・・

オレにはまだ女神が付いてるから、

必ず勝つ」


そう言った義嗣は、

夏樹を愛おしそうな目で見る。

・・・

夏樹は何も言えなくて、

オレのスーツをギュッと掴んだ。

・・・

「じゃあ決戦は明日」

・・・

義嗣は、

俺達に手を振ると、

会社を出ていった。

・・・


家に帰るまで、

オレも夏樹も、

一言も言葉を発しなかった。