お母さんは既に学校から連絡が入ってたみたいで、傷だらけの顔を笑いながらも心配してくれた。


「苛められてのその傷ならお母さん美紀を守るけど、女の子同士の喧嘩でしょ?逆に元気があって良いんじゃない?」



と、私の好きなエビチリを沢山作ってくれていた。


「顔冷やしておきなさい。瞼とかこ~んなに腫れたら好きな男の子の前に行けないでしょ?」


と、大袈裟にジェスチャーするからエビチリを食べてる最中に冷蔵庫から冷えピタを取り出して焦ってくっつける。


そしてソレを見てお母さんがまた笑う。


「食べずらいでしょっ!アハハっ!ほっぺた二つとおでこにくっつけてたら。アハハっ!」

「だって、だって……。」


お岩さんみたいにあんなに腫れたら嫌だもん。






その日の夜から既に微熱が出て、次の日も微熱は下がらなかった。


痛みは昨日より酷くて、蹴られた足は大きなアザになっていた。


腕にも小さなアザに引っかき傷。顔もお岩さんほどじゃないけど、殴られた左目の周りは薄く黒くなっていた。


ほっぺたもヒリヒリするし、よく見ると口の横が切れて傷になっていた。


「私……、どんだけ戦士なのよ。」


洗面所の鏡を見て落ち込んで、すぐに自分の部屋のベットに潜り込んで寝た。


学校は休んだ。


熱は低いけどこんな顔じゃ行けないもん。


部活のことも気になった。練習したくてたまらなかった。トロンボーンが吹きたくて仕方なかった。