『----------!!』



力尽きた私の最後に、男は泣き叫んだ。



絶望の中、男の泣き叫ぶ声が闇を震えさせる。



『何故……っ、
こんな…………っ、!!』


先程までよく聞こえなかった、男の声が聞こえた。



それは…とても悲痛な声…。



『そなたの………っ、いない、セカイなどっ…………!!』


男は私を抱きしめ、涙を流す。



すがりつくようなその姿は、悲しみしか感じない。



どの位そうしていただろう。




男は、私の腰に収められている短刀に気づいた。



男は何か考えるように俯き、



やがて決心したように、顔を上げ、短刀を引き抜き、











---自分の胸に、突き刺した。








『ぐっ…………、
………っぁ………』


男は激痛に耐えるかのように、突き刺した短刀をさらに握りしめたまま、放さない。




そして男は片手だけ短刀から放し、震える手を私の手と重ね、握りしめる。



もう放さない、と言うように。





『我が、魂は………っ、


そなたと、共にっ…………。』




消え失せそうな声で私の顔をみた男の表情は、





とても、優しかった。




やがて男の目が光を失い、





私の横に、倒れる。





男は私と向かい合うように、私の手を握ったまま息絶える。





湖は、私達を見届けたかのように水音を経て、




2人は血まみれのアイリスの上で、手を握ったまま、











---とても静かに、息絶えた。