軽いヤケドとはいえ、あたしは他人様に怪我を負わせてしまったわけで。


その事実を前に、お母さんの頭に上っていた血は一気に急降下したらしい。


すっかり恐縮してしまって、半泣きでおじさんに謝罪し続けていた。


土下座せんばかりの姿を見て、さすがにあたしも冷静さを取り戻すことができたんだ。


「あたし、かなりヤバイことしちゃったかな?」


「したわね。かなり」


「ですよね……」


あたしはしょぼんとして、さらにヒザを抱え込んで小さくなった。


「まぁ、あんなこと言われちゃ七海が腹立つのも無理ない。あれはうちの親父が悪い」


慰めてくれる大地の気持ちが嬉しい。


けど、それを言ったらウチのお母さんだって、ボーターラインギリギリの発言をしまくってたわけで。


それに対して柿崎さんも大地も、腹は立てても冷静だった。


誰もビーフシチューをぶん投げたりなんてしなかった。