「どうしたんだよ、海。元気なさそうだな」

 幸助はそう言って、私の頭をポン、と触った。

 幸助は奏太の親友で、だから私も面識はあった。

「元気になろうって決めたけど…なかなか難しいんだよね…」

「…うん、なんとなくわかるよ…」

 幸助は私の隣に立つと、空を見上げた。

「もうすぐ、夏も終わるな」

「そうだね…」

 会話が終わる。気まずい空気が流れた。

「…そうだ。俺のじいちゃんの家の近くにさ、むっちゃくちゃうまいお好み焼き屋があるんだ。今度一緒に行かないか?」

 幸助が聞いてくる。

「…ありがと。でも、ごめんね?私、暫くは男の子と二人きりになりたくないの…」