「うぅぅ…、相手するの疲れたんだから…!」
由宇が机に突っ伏しながら言った。
誰の、とは聞かなくても分かった。
水木さんは項垂れている由宇を見て首を傾げた。
「何で由宇は元気無いんだろうな」
「………」
お 前 の せ い だ よ
とか言えたらどんなに良いだろうか。
…水木さんが少しでも空気読めたらファンクラブの剣呑とした雰囲気も落ち着くのに。
「あ」
ミスった。
「どしたの、晴菜」
由宇が訊いてくる。
「や、何でもない」
さっき龍崎に接触した時に、黒い手紙について警告しておくべきだったわ、と。
水木さんがこれから危ない目に合うのは一目瞭然なんだし。
私はチラリと水木さんを見る。
ニコニコと
周りに花でも咲かしてそうな笑顔――何も考えてなさそうな笑顔とも言う――を見て
ああ、
この子なら
なんか災難の方が逃げていきそうだわ、と思った。