「本当に東吾(トウゴ)君は古典が好きだなぁ」

「えぇ、お父さん。昔も今も変わらない愛が素敵なんですよ」

「しかし東吾君が源氏のようになっては、親として困るがなぁ」

「えっ!? ま、まさか!」

「あはは。冗談だよ。
君には月美(ルミ)に勿体無いくらいの相手だから期待してるんだよ、なぁ母さん」

「えぇ、それはもちろん。
東吾さんみたいな優しい方、他を探してもそう居るわけないですもの。
月美を宜しくお願いしますね」

「は、はいっ! 勿論です。
月美さんのような美しい方と結婚出来るなんて幸せだと思っています」



目の前に、あたしが居るのに。

勝手に進む話が鬱陶しい。



あたしと目が合い、にっこり優しい笑顔で微笑む東吾さんから目を逸らした。


「また月美は。
何か可愛らしい言葉とかないのか?」


呆れた顔をした父があたしに振った言葉に


「あたしなら光源氏とやらに出会って恋してみたいけどね」


思いっきり皮肉めいた言葉を返した。


だって、あまりにもつまらないんだもん。


「コラ、月美!」

「あはは、お父さん良いんですよ。
僕はそんな月美さんが好きなんですから」


はっあー。

これは優しいっていうより、ただの馬鹿なんじゃないかしらね。


怒れ。とは言わないから、もう少し……
あたしを楽しませてくれてもいいじゃない。