「それよりも璃里香はどうしたん?」

「何が?」

「うちに聞いてたやん。翔さんのこと」

「……ああ」


そういえばそうだった。


「話したんやろ? あれからどうしたん?」

「別に何も。最後のあたり、翔さん他の女の子に呼ばれてそっち行っちゃったし」

「えー、なんで引き止めなかったん?」

「いや、引き止めるほうがおかしいから」

「えー、つまらん。璃里香にもやっと恋が芽生えると思ったのにー」

「あのね……」

「好みやったんやないの? その翔さん」

「好みっていうか……」


あれはただ、翔さんが誠ちゃんに似てたからちょっと気になっただけで。


暗かったからそう見えたのかもしれないし。


あれから家に帰ってからは、誠ちゃんが出ているバラエティーを見たから、翔さんのことなんかすっかり頭になかったし。


連絡先を聞かなかったのも、今となってはよかったのかなって。