「イジメッ子? このおまわりさんが?」


大地が首を傾げながら優太郎を見た。


「そうだよ! 小学生の頃、毎日のようにお姉ちゃんを泣かしてたんだから!」


「へえ? なるほどねぇ」


「だからきっちり謝って……。え? なるほどって、なにが?」


なにかを納得したような表情の大地が、優太郎に向かって親しげに話しかける。


「つまり、そういうことですよね?」


「つまり、そういうことなんだよ」


「なるほど。わかります」


男同士で見つめ合ってニヤニヤ笑っているのが、気持ち悪い。


「ちょっと。そういうことって、どういうこと?」


男ふたりの顔を交互に見て質問するあたしに、大地が笑いながら答えた。


「児童心理学の初歩ってやつだよ。好きな女の子ほどイジメたい」


「え? それって……」


「そう。このおまわりさんは、一海さんに恋してたんだよ」


「えぇ⁉︎ 恋⁉︎ 優太郎がお姉ちゃんに⁉︎」