そのおまわりさんと一緒に、お姉ちゃんと柿崎さんが奥の部屋へ入って行く。


ふたりとも、お巡りさんに怒られるのかな? あたしのせいだ。完璧にあたしが悪い。


お店の営業に支障が出たらどうしよう。ごめんなさい。お姉ちゃん、柿崎さん……。


鼻をグスグスさせていたら、大地がガタガタとパイプ椅子を引っ張ってきて、あたしの隣に座った。


なにを言われるのか怖くて、あたしは唇をキュッと噛んだ。


「おい、七海」


「…………」


「なんだよ、その格好は」


「…………」


「しかも、よりによってそのメイクはねえだろ? なんだそりゃ?」


「…………」


「まるで50年前の和田ア〇子……」


「うるさい!」


あたしは思いっきり大地の腕を引っ叩いた。


なによ、その例えは! どっから和田ア〇子が出てくんのよ!


しかも50年前ってどーゆーことよ⁉︎


向かいの席に座ってる優太郎が、めっちゃ爆笑してるのも腹が立つ!


「七海の彼氏か? うまいこと言うなあ!」


「彼氏じゃない! こんなバカ男!」


「おいおい、お前を心配して駆けつけてくれたんだぞ?」


「べつに頼んでないもん!」


「そんなガキみたいな態度をとるなよ」


「ガキじゃ……!」


ないもん!って叫ぼうとして、言えずに黙った。


そんなセリフ、さすがに恥ずかしくて言えたもんじゃない。