「そんなのまだ信じてたのか?」



 レンは急ハンドルを切る。

 助手席のドアから身を乗り出そうとしていたエイジは、ごん、と頭を打ち付けて、レンを睨む。



「覚えておけよ、エセサムライ」

「さぁな。しかし、腹へったな」

「今晩のメシは何にするか、決めたのか?」



 後ろに向かって銃を撃ちながら、エイジは言った。



「メシより酒、だな」

「じゃ、早ェトコ片付けちまうか」



 そう言って、エイジは走っている車の車の屋根に上かる。



「どうすんだよ!?」

「銃とか苦手なんだよ、俺は。んなことより、直接あの車をぶっ潰したほうが早ェだろ!!」

「ったく…無茶すんな」



 レンは呆れた口調で言った。



「どっかの居酒屋にでも行って、酒でも飲んでろ」



 そう言い残し、エイジは後ろの車に向かって跳躍した。

 相変わらず身軽だなと、レンは関心するが。

 しかし、納得いかないのは。



「なんで居酒屋なんだよ」



 もしかして金がねェのか、と、レンは思う。

 なんにしろ、長年連れ添った相棒のことだ、心配はないと思うが。

 そのまま走らせていると、遥か後方で煙が上がるのが見えた。

 レンはそのまま、車を乗り捨てられそうな場所を探す。