こんな素敵な人が、笑顔であたしをじっと見つめてくれるなんて、夢みたい。


体中の細胞が、幸せを叫んでる。


これからあたしたちの運命の物語が、ようやく本格的に始ま……。


―― カチャン。


背後で玄関が開く音がして、誰かがお店に入って来た気配がした。


あー、お客さんが来ちゃった。せっかくの再会なのに、できれば他人に邪魔されたくないんだけどなぁ。


そんな文句を心の中でつぶやきながら、入り口の方を振り返ったあたしは、そこに立っている人を見て目を丸くしてしまった。


胸まで届くストレートロングの黒髪。肌の色は目を見張るほど白く、体つきも手足もほっそりとして、見るからに儚げな、あの人は……。


「お……お姉ちゃん!?」


「え!? 七海!?」


そう。お店に入ってきた邪魔者は、なんと偶然にもあたしのお姉ちゃんだった。